さいたま市議会議員 てるきな弘志

1.「災害廃棄物処理の協力に関する協定」について

(1)災害時、協定を結んだ17の業者へ処理を依頼する体制について

昨年10月の台風15号により、市内で多くの家屋が床上・床下浸水に見舞われ、大量の災害廃棄物、いわゆる災害ゴミが発生しました。浸水家屋から出た災害ゴミは委託業者による日常収集業務では収集しきれず、一週間以上放置された状態が続いた場所もあったと聞いております。

さいたま市は、本年7月市内17の事業者と災害廃棄物処理の協力に関する協定を結び、災害廃棄物の迅速な収集への協力体制がとられました。市民生活を素早く回復させ、レジリエンスの強化がなされたと評価いたします。

しかし、災害時に協力体制を構築するためには、協力事業者との緊密な連携が欠かせません。そこで、災害時、委託業者への司令塔は誰が担うのか、指示系統についてお伺いします。また、各事業者の日常業務についてはどうなるかお聞かせください。

今回、協定に参加した17の事業者と緊密な連携を取り、一部の業者に依頼が集中することなく、17の事業者がワンチームとして機能するよう、司令塔の明確化、指示体制の構築をお願いいたします。

2.ゴミ処理施策について

(1) ゴミ減量の取り組みについて、特に生ゴミ処理のコンポスト普及について

サーマルエネルギーセンターの設置に伴い、西部環境センターが廃止。東部環境センターはサーマルエネルギーセンターに。4センター体制から3センター体制になります。焼却ゴミの処理能力で見ますと、サーマルエネルギーセンターが一日420トン。東部環境センター、西部環境センターがそれぞれ300トン。あわせて600トンの処理能力があったところ420トンになることで、180トンの処理能力が減少いたします。 資源化が進んだことで、これまでは稼働率も低くなっており、この処理能力で十分に賄えると理解しておりますが、ゴミ減量の取組は今後も進めていかなくてはならないものと思います。

そこで、さいたま市のごみ減量の取組についてお伺いします。様々な角度から3R運動を推進しているところだと思いますが、当たりのごみ排出量の推移と、ゴミ減量に効果があったと思われる事業についてお聞かせください。

燃えるゴミに分別される廃棄物の多くを占める生ごみについて、本市では生ごみを堆肥化する処理機の購入費用の助成を行っておりますが、堆肥を自家消費できるということが条件になっております。マンション在住ですと自家消費は難しいのですが、生ごみ処理機の補助がつかないのでしょうか。見解をお聞かせください。

コロナ禍の自粛生活で、一般家庭においてもゴミが大量に出て、ゴミ捨て場があふれるということがありました。生ゴミ処理についての需要も高まっている時だと思います。コンポストの普及促進のためにも、堆肥を使わない家庭でも生ゴミを減量化して廃棄できるなどのコンポストの活用方法の周知も必要ではないでしょうか。見解をお聞かせください。

(2) ゴミ拾いアプリの導入について

朝、町を歩いていますと、自宅前の道路を掃いたり、草むしりをしているお年寄りをよく見ます。日本中どこでも見られる光景だと思いますが、こういう人たちのお陰で日本の街が美しく保たれていると日々感じております。

今、社会課題を自分ごととして行動するSDGsへの貢献が求められています。私たちの住む町の美化についても、一部のお年寄りボランティアに頼ることなく、若い人たちへとそのすそ野を広げる必要があります。

そこで他自治体において利用が広がっているゴミ拾いアプリ「ピリカ」を紹介したいと思います。ゴミを拾ったら、写真に撮って、アプリ上のSNSに投稿すると、他のユーザーから「ありがとう」を送ってもらえるというものです。それだけかと思われるかもしれませんが、私も使ってみました。「ありがとう」を送られると普通にうれしくなります。また、いつでもできますし、これまで気にならなかった小さな路上のごみまでが妙に気になって無視もできなくなります。

他自治体では例えば、

横浜市(2016年10月30日)「ありがとう!ヨコハマクリーンアップ」

横浜市内で29,478人が参加。3,813,911個のゴミが拾われて投稿されている。横浜市オリジナルの清掃用トングをプレゼント。

山形県(2020年9月1日)「はだしで歩ける海岸を目指して 山形クリーンアップ作戦」

開始一週間で、山形県内206人。241個のゴミが収集された。

富山県(2018年7月20日)「みんなできれいにせんまいけ!とやま」 217,863人。9,951,022個のゴミ。延べ30人以上で清掃活動に参加する団体にはオリジナルゴミ袋を贈呈。

コロナ禍でゴミゼロキャンペーン清掃運動や、スポGOMI大会も開くことができません。これまで向上に努めてきた市民の環境意識がここでしぼむことのないよう、今こそ、こういう取り組みが必要なのではないでしょうか。

ゴミを拾うことは、プラスチックごみの自然界への流出防止にもなり、マイクロプラスチックの削減施策にもなります。ゴミ拾いアプリの導入についての見解をお伺いします。

(3)高効率発電による温室効果ガス削減効果について

本年7月28日の市長の記者発表により、さいたま市は、2050年までに温暖化による気温上昇を1.5℃に抑えるため2050年前後に二酸化炭素排出量実質ゼロを達成するゼロカーボンシティを宣言しました。

現在、改定を行っているさいたま市総合振興計画(計画期間:2021年度~2030年度)においても、「脱炭素社会に向けた持続可能な都市の実現」を掲げるとともに、さいたま市地球温暖化対策実行計画(区域施策編)等において、脱炭素社会の実現に向けた2050年のあるべき姿とその実現に向けた具体的な施策等を盛り込む予定(2021年4月改定予定)と聞いています。

具体的な施策・目標については、これから検討されることと思いますが、ゼロカーボンシティの実現に、令和7年に供用開始になるサーマルエネルギーセンターが寄与するのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

サーマルエネルギーセンターは高効率発電により、発電効率をあげ、熱回収することで、CO2排出量を実質的に削減するものと理解しています。そこで、このサーマルエネルギーセンターのゼロカーボンに対する貢献度についてお伺いします。

今後の方向性として、ゴミ減量を進めるべきなのか、もしくはごみ焼却を進め、熱回収するべきなのか。どちらが、2050年目標への方向性として正しいあり方なのでしょうか?

3.空き家対策について

空き家問題は過疎地域をはじめ全国的な課題となっております。先日、地元中央区上峰の空き家が火事になりました。通報を聞いて、私が駆け付けた時にはすでに鎮火していましたが、狭い道路に消防車が5~6台連なり、予想外に大きな火事であったと感じました。近隣の住民の方に聞きましたら、類焼は免れ、無事であったことを知り安心いたしました。一歩間違えれば、大惨事になるところであったかと思います。

このように、空き家を放置することは、経済的コストだけでなく、近隣住民の安心・安全を脅かす社会的コストの増大も招きます。

空き家対策のためには、3つの角度からのアプローチが必要であると思います。つまり、①空き家を増やさない。②空き家を減らす。③危険な空き家を除去する。

この3つの角度から順次質問させていただきます。

(1)空き家ワンストップ窓口の活用について

平成30年3月に策定した空き家等対策計画では、空き家率2.4%(都市計画基礎調査、水道閉栓調査による)を令和3年度まで維持することを目標としていますが、令和元年9月に行われた住宅土地統計調査によると、実質的空き家率3.0%となっています。全国の空き家率13.6%に比べると、本市の空き家率は低いと言えますが、市内の現状として、空き家が増えているという認識はありますか。本市の空き家の状況について見解をお聞かせください。

私も実感として空き家が増えているように感じます。今後、空き家を増やさないために、今のうちから手を打つことは重要だと思います。そこで、さいたま市では昨年10月に「空き家ワンストップ相談窓口」が開設されました。民間の専門業者と連携して、空き家の相続や処分などの悩みに対応する取り組みは重要な取り組みである。 そこで、これまでに、相談窓口で受けた相談実績(件数、主な相談内容)と、今後、さらに相談件数を増やしていくための取り組みについてお伺いします。

(2)空き家バンクについて

続いて、空き家を減らす施策について、今ある空き家を市場に流通させることが重要であると考えます。そのために、埼玉県内でも50の市町村で導入されている空き家バンクの活用を検討してはいかがでしょうか。

まず、今後、さいたま市においても、空き家バンクを導入する考えがあるかお伺いします。 また、地域活性化など住宅以外の用途も含めて、空き家を利活用していくための施策について、検討状況をお伺いします。

(3)所有者不明空き家の所有者特定の手順について

次に危険な空き家を除去する施策について、市内でも増えつつある所有者不明空き家について、お伺いします。

近年は災害も大型化しており、老朽化した空き家が周辺に及ぼす影響は無視できません。こうした危険な空き家への対策は市民の良好な生活環境を確保する上で、重要であり、空家特措法第14条において、特定空き家等への措置が規定されています。法に基づく措置を行うにあたり、まず重要になるのが所有者の特定であると思われます。所有者の所在が判明すれば、法に基づき助言・指導、勧告、命令を順次することができますが、判明しない場合は、所有者不明の空き家となり、状態が改善されないまま問題化していくケースが多いと思います。

そこで、空き家の所有者を特定するまでの手順はどうなっているか、マニュアルは存在するのか、マニュアルに沿って適正に運用されているか、お伺いします。 また、所有者の所在がわからなかった場合、どこまで調べれば、所有者不明の空き家という扱いになるのかお伺いします。

(4)所有者不明空き家の略式代執行について

空き家の増加に伴い、所有者不明の空き家も今後増加する恐れがあり、この対策にも力を入れていく必要があると考えます。本市では所有者不明の空き家への対応として、財産管理人制度を活用していると聞いています。市が利害関係人として申し立てを行い、財産管理人が選定されると、より資産価値の高い状態で空き家の管理・処分が可能となり、対象の空き家を住宅市場へ還流することができ、問題解決につながります。 一方で、空き家特措法第14条には、所有者を確知できない空き家に対する略式代執行の規定があります。略式代執行も、所有者不明空き家の問題解決に向けて、有効な手法と考えますが、市では、今後、略式代執行をする考えがあるのかお伺いします。

(5)財産管理人制度による費用の回収について

他の自治体では、略式代執行による除却費用を回収するにあたり、先ほどの財産管理人制度を活用し、財産管理人に土地を売却してもらい、除却費用及び予納金を回収した事例があると聞いています。 今後、さいたま市においても、このような取り組みを行うことにより、所有者不明空き家の解決が前進すると思いますが、活用していく考えはあるかお伺いします。