さいたま市議会議員 てるきな弘志 一般質問

1 Withコロナ、Afterコロナ時代の行政事務について

1.1 行政手続きのオンラインワンストップ窓口について
この度の新型コロナウイルス感染症の影響により、区役所の窓口が過密状態になったことがありました。区役所には手続きで訪れるお年寄りや妊婦など感染リスクの高い市民も多くおります。Withコロナ、Afterコロナ時代の行政のあり方として、行政手続きのさらなるオンライン化、窓口のシステム化、予約制などは全国的な流れとなっています。現状、本市では48種類の手続きが電子申請・届出サービスで利用できますが、昨年度の利用実態は20,660件に止まり、しかもその9割以上が水道使用と職員採用に関する届出に集中しております。
この電子申請・届出サービスのメニューは、利用目的が明確でなければ使いづらく、結婚や、就職、転居などのライフイベント時には有効とは言えません。そこで、平成20年から本格導入されたパッケージ工房で使用されているライフイベント毎のオーダーシートをウェブ化し、申請に必要な個人情報を入力すれば、電子申請が完結するようなオンラインワンストップサービスを提案したいと思います。またどうしても窓口での申請が必要な手続きについては、氏名等の個人情報が入力された届出書類が印刷でき、それを窓口に提出するだけで済むようになれば、さらなる利便性向上を図ることができると思いますが、見解をお伺いします。

1.2 RPAによる事務作業の効率化と全庁展開について
新型コロナウイルス感染症により、明らかになった日本の課題としてデジタル対応の遅れが指摘されています。昨年の世界デジタル競争力ランキングで日本は主要63カ国中23位と低く、特にデジタルトランスフォーメーションを活用する適応力で低い評価となっており、コロナ危機への我が国の対応に現れているのではないでしょうか。
昨年、本市では事務作業の効率化のため、RPAの実証実験が行われました。全体として73%、時間にして、年6000時間近くの削減効果が見られ、大きな効果があったと言えます。RPAの大きな特徴として、ツールを導入しさえすれば、プログラミングの知識がなくても、業務フローを理解している現場の職員が自らロボットを作ることができるところにあります。今後、全庁展開するにあたっては、ロボットに置き換える業務の選定、ロボットの作成については、現場の裁量を大きくしていただきたい。RPAを効果的に使える職員が増えれば、例えば、今回の特別定額給付金の申請書の郵送・振込作業においても、自然と現場から、事務作業の多くをロボットに置き換えて自動化してはどうかとの声が上がり、急な業務にも迅速に、かつ正確に対応できたかと思います。
コロナ危機への本市の対応への反省を踏まえ、今後のRPA導入の方針についての見解をお伺いします。

2. 教育行政について

2.1 オンライン授業と新型コロナウイルス感染症第2波への備え
新型コロナウイルス感染症により、さいたま市教育委員会としては、休校・外出自粛という極めて厳しい制約条件のもとで、子どもたちの学習の遅れ、生活リズムの乱れに対応するため、デジタル授業をはじめとする様々な方策を取られたことは評価いたします。
しかし、教育長も記者会見で述べられていたように、決して100%の対策ではありませんでした。教科によっては画面上に静止画だけの説明が延々と続くという動画もございました。これでは子どもたちは飽きてしまいますし、画面上とはいえ、教師の顔を見ながらの動画であれば、もっと血の通ったものができたのではないかと思います。
今後、新型コロナウイルス感染症の第2波が起これば、再び休校措置が取られることも予想されます。その時のためにも普段の授業からロイロノートやGoogle Classroomなどのデジタルツールに慣れておき、環境が許せば双方向のやりとりによるオンライン授業ができるように準備しておく必要があるかと思いますが、見解をお伺いします。

2.2 生徒の心の問題への対応について
休校期間中は、生徒同士の接触が限定的なため、いじめなどの友人関係の相談は少なかったと思いますが、学校再開にあたって、子どもの相談が増えてくることが予想されます。学校を安全・安心の場所にするため、子どもたちの相談窓口について、どのようにお考えでしょうか。また、緊急事態宣言以降、家庭内での環境の変化が子どもに与える影響も大きく、家庭状況の把握と子どもの変化を見逃さない取り組みが必要であると思いますが、今後の対応についてお伺いします。

2.3 中学3年生の部活動について
学校再開後は、クラスター対策として部活動にも相当な注意を払い、対外的な練習試合などは当面実施しないとの方針が示されています。それでも多くの子どもたちにとっては、新型コロナウイルス感染症が終息すれば、以前のように活動できるとの希望がありますが、中学3年生にとっては、修学旅行などの大型行事もなく、部活動も何もしないで引退するようになってしまいます。高校生の大会は県で検討されているようですが、中学生のための何らかの部活動の成果の場を、市で設けてはいかがでしょうか。今後の学校行事の持ち方の視点から、お考えをお聞かせください。

3 .公共交通計画について

3.1 本市の目指すMaaSの姿について
昨年6月8日に『新たなモビリティサービスによる「まち」づくり協議会』(略称 MaaS協議会)が設立され、会長である清水市長は行政が主体となるP-MaaSを実現していきたいと述べられました。さいたま市の目指すMaaSの姿、また今後の取り組みについてお伺いします。
P-MaaSとは、自治体の公共交通計画に対して、その計画を効率的・効果的に推進するための手段としてMaaSを導入し、政策統合することと理解しています。本市の地域公共交通計画である「さいたま市総合都市交通体系マスタープラン基本計画(さいたまSMARTプラン)」には、基本目標として「SMARTな交通体系の構築による集約・ネットワーク型都市構造の実現」が掲げられ、その実現のため4つの基本方針が示されています。これらの政策目標の実現のため、MaaSという新しいサービス形態、中でも交通手段の統合レベルとして最上位に位置づけられているP-MaaSは貢献できるとお考えでしょうか。

3.2 今後の取り組みについて
本年2月7日、地域公共交通活性化再生法の改正案が閣議決定されました。改正案では、地方公共団体による「地域公共交通計画」(マスタープラン)の作成、また、MaaSに参加する複数の交通事業者の運賃設定に係る手続のワンストッフ゜化、MaaS協議会制度の創設などが盛り込まれ、MaaSを全国に普及する姿勢が示されました。
本市の目指すSMARTな交通体系を構築するためには、多様な交通手段をシームレスに、ストレスなく利用できることが不可欠で、SMARTプランにも鉄道駅周辺のアクセス向上のためパークアンドライドの促進など、ハード面でのインフラ整備が掲げられております。政府の改正案に示されているマスタープランの作成にあたっては、ハードのインフラ整備に加え、ソフト面のインフラとしてMaaSを位置付ければ、より効果的に政策目的を達成できるのではないかと思います。
本市がP-MaaSを目指すのであれば、政策内におけるその位置付けを明確にした上で、MaaS協議会にて、事業者間の調整を図るなどの取り組みを始める進むべきだと思いますが、今後の取り組みについて、見解をお伺いいたします。

3.3 介護型MaaSとAIデマンドバスについて
交通手段の連携を図るソフトインフラとしてMaaSを整備することと合わせ、連携を図るべき交通手段の課題として、高齢者の移動支援とラストワンマイルの移動手段の確保が挙げられます。
高齢者の移動支援としては、昨年、福祉車両を活用したモデル事業が岩槻区で行われ、週一回の買い物支援に留まりましたが、好評だったと聞いています。市民のニーズの一つを解決する手段として高く評価します。しかし、現状では福祉事業者が地域貢献事業として協力してくれているに過ぎず、事業者にとってのメリットは大きくありません。今後、全市に展開し、持続可能な事業とするためには、福祉事業者の参入を促す施策と、買い物支援に止まっているサービスを広げる必要があります。
太田市のデイサービス施設では、福祉Moverと呼ばれる自動ルート作成システムとSAVSと呼ばれるAI自動配車システムを導入し、福祉車両をオンデマンド化し、高齢者の移動支援に活用しています。福祉事業者にとっては自社の介護施設利用者へ外出サービスを提供することができ大きなメリットが生まれています。行政としてはシステムの導入費用を助成することで事業者の参入を促すことができます。
この介護MaaSのシステムを介護事業者だけでなく、広く一般化した移動サービスがAIデマンドバスであり、ラストワンマイルの移動手段として活用が期待されています。次世代型乗合交通の一つとしてAIデマンドバスの実証実験を進め、全市展開とともに、高齢者に特化したサービスとしての介護MaaSの導入へと進んでいけばスムーズな展開ができるのではないかと思いますが、見解をお伺いします。