1.多胎児の保育について
(ア)多胎児を保育の必要性の認定要件に
双子や三つ子など多胎児を抱えるご家庭の負担は、経験したものにしかなかなか伝わらないものがあり、行政の支援の手も遅れております。さいたま市でもいくつかの区(浦和区、西区、緑区、南区、見沼区、北区)で双子以上の子育てをしているお母さん方の交流の場があり、それだけでも心の負担を幾らかでも和らげてくれていると思いますが、行政としてそうした交流の場で持ち上がった話を掌握し、何らかの対応の検討はなされているのでしょうか?
専門家によると、多胎児の育児では一人が泣き止んでも、すぐにもう一人が泣き出す。双子なら1日16回、三つ子なら24回の授乳が必要で、夜泣きも交互に続くため、いつも睡眠不足の状態で精神的に余裕がなくなり、不安感が深まっていくと言われています。
そして、そうした不安定な精神状態から、一昨年の1月、三つ子の母親が夜中に泣き始めた赤ちゃんを畳に投げ落とし、死なせてしまうという事件が起きました。
多胎児の出生割合は約2%で半世紀前に比べてほぼ2倍に増加しています。特に高齢の出産になる程割合は高まります。同時に、核家族化や地域の人間関係の希薄化など社会環境の変化もあり、母親の抱える不安はますます大きくなっており、先ほどの事件のように赤ちゃんを虐待してしまうお母さんもいます。多胎児家庭の虐待死の発生頻度は、単胎児家庭の2.5倍から4倍にのぼる調査結果もあります。
そこで、そうした多胎児家庭の負担軽減のため、専業主婦であっても保育園に入れられるように多胎児を保育の必要性の認定要件に加えることはできませんでしょうか。
保育の必要性の認定要件には「虐待やDVのおそれがあること」とありますが、虐待やDVのおそれを判断している間に、虐待が起こってしまっては遅いと思います。多胎児に対する虐待リスクは統計的にも高く、虐待が起こる前に、多胎児が保育所に入れるように、虐待やDVのおそれの判断基準として多胎児を加えるよう認定要件を改めることは市の判断で可能なのでしょうか。可能であれば検討してはどうかと思いますが、執行部のご意見をお伺いいたします。
2.ワクチン再接種について
(ア) 免疫が失われた子どものワクチン再接種の費用助成について
難病治療のため、骨髄移植などの造血幹細胞移植を行った場合、その前処置のために抗がん剤や放射線照射を使用して、免疫力を排除します。そのため、移植によって造血幹細胞が生着した後も、移植の前に予防接種もしくは罹患によって獲得した抗体は失われたままであり、ワクチンの再接種が必要になります。
必要となるワクチンの本数や種類は単純計算で20-30本にものぼり、費用は15-20万円に相当しますが、再接種は保険診療外になるため、全額自己負担しなければなりません。
せっかく難病治療を施したとしても、免疫が失われているため、感染症のリスクが高く、しかも免疫不全者の感染症は健常者に比べて重症化し、感染力も高いことが知られています。
厚生労働省はこうした課題に対して、平成30年7月に全国の自治体にアンケート調査を行い、骨髄移植などの医療行為により免疫を消失した人に対するワクチン再接種への支援の実施状況を調査し、1741市区町村のうち、新潟市や名古屋市など5.2%にあたる90自治体で何らかの助成制度があり、そのうち、28自治体では費用を全額負担していることがわかりました。今後、助成を予定しているのは83自治体、検討中は238自治体でありました。検討中を含めて約4分の1の自治体がワクチン再接種についての関心を示していることになります。
そこで、本市におきましても、一人でも多くの子どもたちの命を救うため、また、感染力の高いウィルスによる健常者への蔓延を防ぐため、免疫消失者へのワクチン再接種の費用助成を始めてはどうかと思いますが、執行部の見解をお伺いいたします。
市内に何人、そういう対象者がいるのか教えていただきたい。助成を導入した場合の市の負担はいくらになるのか?
国はワクチン再接種を定期接種化しようとしているのか。国の動向を教えていただきたい。再接種は医療費抑制の観点からも、ウィルスの蔓延を防ぐという観点からも費用対効果は高いと思われます。国の動向に見通しが立たないのであれば、国の動きを待つことなく、市単独でやるべきであると思いますが、もう一度、見解をお伺いします。
3.フレイル予防について
(ア)いきいき百歳体操の実施状況について。
サポーター数、体操実施状況(会場・頻度)。会場確保に努めていただきたい。
フレイル予防は、お年寄りが住み慣れたさいたま市で、健康で生き生きと暮らし続けられるようにするため、また、医療費の観点からも、健康なお年寄りが増えることは、医療費の削減につながり、社会保障制度を持続可能なものとするためにも、その重要性は広く認識されております。
さいたま市としても、介護予防に有効ないきいき百歳体操を推進するいきいきサポーターを養成し、市内各地で百歳体操が行われています。
いきいき百歳体操はおもりで負荷をかけながら、運動をおこなうことで筋肉をつけていくことができます。老化とともに、筋肉が落ちていくと一般的に考えられていますが、筋肉はトレーニングを重ねれば何歳になっても鍛えられることが分かってきております。実際にスポーツ経験のない女性が74歳でパワーリフティングを始め10㎏しか上げられなかったところ、82歳で出場した世界マスターズで42.5㎏を上げ、世界一になっています。
日々の健康を維持するためには、そこまでのトレーニングは必要ありませんが、フレイル予防という観点から、いきいき百歳体操は非常に効果的であると認識していますし、今後もどんどん推進していっていただきたいと思います。
そこで、さいたま市のいきいき百歳体操の状況と課題についてお伺いします。いきいき百歳体操を指導するいきいきサポーターの数、百歳体操を実施している団体の数、頻度を教えていただきたいと思います。また、百歳体操を今後も継続的に行って拡充していくための課題についてお聞かせください。
サポーターの数は今後も増えていくのでしょうか?現状でも会場の確保に課題があるにも関わらず、サポーターの増加に伴って、さらに会場不足になっていくことは目に見えております。行政として会場確保のための支援について何らかの措置は考えているのでしょうか?見解をお伺いします。
例えば、学校の体育館を使わせていただける時間帯はないか、外でうまくやる方法はないか等、ご検討いただければと思います。
(イ) 公園のすこやか遊具の状況確認、更新・新規設置を計画的に。
公園に設置されているすこやか遊具は、多くのお年寄りにとって、すこやか運動教室や、散歩のついでに軽く運動するのに非常に役に立っていると認識しております。
しかし、いくつかの遊具では老朽化のため撤去されてしまったり、安全基準の点検の結果、使用禁止のテープが貼られたまま、何年も放置されたりしている遊具もございます。
市として、すこやか遊具の現状について、どこまで把握しているか、現状認識について、見解をお聞かせください。
今後のすこやか遊具の更新計画、新規設置計画についてお聞かせください。
撤去されてしまった遊具の再設置等、今後、計画的に進めていただきたいと思います。
4.ダブルケアについて
(ア) 実態把握の状況、手法。
介護と子育てを同時に経験するダブルケアについて、昨年6月の委員会でも質問させていただきましたが、さいたま市内のダブルケアラーの実態把握について、再度お聞きします。
6月の委員会では、実態把握の手法について、関係各課と連携して研究してまいりますとのご答弁でございましたが、その後の研究結果について教えていただければと思います。
内閣府が民間に委託した調査により、全国で約25万3千人のダブルケアラーがいるとの推計が、2016年に公表されました。この調査は2012年の就業構造基本調査で「ふだん育児をしている」と「ふだん家族の介護をしている」の両方を回答した人をダブルケアラーとして推計されたものです。2012年の統計調査をもとにしており、現在はさらに増えていることも予想されます。さいたま市の最新のダブルケアラーの実態を把握するため、アンケート調査をすることが難しいのであれば、例えば、介護保険と児童手当を両方申請している家計を把握するとか、保育所の申請をした家庭で、介護状態にある家計を調査するなどできないでしょうか?
(イ)ダブルケアカフェの実施状況について
ダブルケアラーは、経済的にも、身体的にも、心理的にも、他とは比べられないほどの負担を抱えており、それがなかなか周囲にも理解されにくく、支援の手も行き届いておりません。
また、既存の支援の枠組みでは、ダブルケアへの支援の手を差し伸べにくいケースもあります。例えば、既存の介護の枠組みでは、要介護度が高いほど、支援は手厚くなりますが、ダブルケアの場合は、むしろ介護度が低い方が、要介護者を施設にいれることもできずに、ケアラーが直接面倒を見る可能性が高く、負担は大きくなります。ダブルケアへの支援はこうした実態も考慮すべきであります。
そうしたダブルケアの状態を正確に把握し、個々の状態に合った適切な支援の手を差し伸べるためにも、ケアラーが自分の状態を語ることのできる居場所を作ることは大切であります。6月の委員会でも提案をさせていただいたダブルケアカフェは、「あいぱれっと」と「地域包括支援センター」が協力して、定期的に開催されております。また、こうしたケアラーの居場所づくりは、心理的負担にもつながっていきます。
そこで、さいたま市として、現在行われているダブルケアカフェの実施状況を把握しているのでしょうか?また、ダブルケアカフェで上がってきたケアラーの抱えている課題の把握はされているでしょうか?実施状況と課題について教えていただければと思います。
ケアラーが抱えているそうした各種課題に対応していくための体制づくりを、今後ぜひ進めていただきたいと思います。
5.親亡き後の障がい者の生活について
(ア) 地域生活支援拠点の整備について。
障害児者の生活を地域全体で支えるサービス提供体制を構築するため、国では第五期障害福祉計画(平成30年度〜令和2年度)までに、障害者の重度化・高齢化や「親亡き後」を見据え、居住支援のための機能を備えた地域生活支援拠点を、市町村又は障害保健福祉圏域において、少なくとも1つ整備することを基本としています。
本市においてはまだ整備されていない状況ではございますが、12月定例会の本会議で、公明会派の吉田議員からに整備スケジュールについての質問があり、「令和2年度に一ヶ所、令和5年度までに全区における整備の完了を目指してまいります」との答弁でございました。また、どのような地域生活支援拠点を目指しているかというビジョンについては、「障害者生活支援センターを中心とした関係機関のネットワークを重視した整備を目指しているところです」との答弁でございました。
この答弁から、全ての機能を集約した何らかの拠点を作るということではなく、ネットワークを重視したということですので、厚生労働省が示している「面的整備型」による整備を予定していると理解しております。他政令市もほとんどが面的整備型、もしくは多機能拠点整備型との複合を予定しているようですし、さいたま市としても既存のリソースを活用しながら面的整備が妥当であるとの判断であろうかと思います。
そこで、面的整備による地域生活支援拠点の整備についてお伺いしたいと思います。まず、令和2年度までに整備する一か所はどこか。次の質問にも関連してまいりますが、そこに不足していて、この度の整備によって、追加、もしくは強化する機能は何か。お示しいただければと思います。
ありがとうございます。もう少し具体的なイメージとして、例えば、障害のある子を持つ親御さんが、自分の亡くなった後の子どもの生活について、どこに相談をしに行って、そして、その子が地域で自立して生活できるまでのサポートの道筋はどのように付けていくのでしょうか?個々の実情に応じて多様なケースが考えられますので、モデルケースとして想定される最も典型的な例をご紹介いただければと思います。
ありがとうございます。相談を受けたら、生活体験の場を紹介して終わりというのではなく、ぜひ、相談者が自立して生活できるようになるまで継続的な支援ができる体制づくりをお願いしたいと思います。
(イ)地域生活支援拠点の機能について。
先ほども、地域生活支援拠点の整備にあたって、現在不足しており、新たに追加、もしくは強化しなければならない機能について質問させていただきましたが、ここでいったん整理させていただきます。厚生労働省からは地域生活支援拠点に必要な機能について、次の5つが示されています。
① 相談
② 緊急時の受け入れ・対応
③ 体験の機会・場
④ 専門的人材の確保・養成
⑤ 地域の体制づくり
令和2年度に整備される地域生活支援拠点は、これら5つを必要十分に備えていますでしょうか?各機能について状況をお聞かせください。
「相談」機能を担う窓口はどこに設置するのか。
「緊急時の受け入れ・対応」のための短期入所の受入可能数は確保できているか。
「体験の機会・場」は確保できているか。障害特性への配慮、地域住民との交流などの機会が確保できているか。
「専門的人材の確保・養成」について、人材養成のためにどのような研修を行っていく予定か。
「地域の体制づくり」について、コーディネーターを中心に、入所事業所や、区役所、自治会関係者など、地域内の様々な関係機関・関係者との連携体制の構築を行っていくことと思われますが、どのような関係者との連携を図っていくことを想定しているか。
ありがとうございます。人材養成は障がい者等の特性に応じた支援ができるよう、サービス管理責任者養成研修や児童発達支援管理責任者研修、相談支援従事者研修、重度訪問介護従業者養成研修、同行援護従事者養成研修、行動援護従事者養成研修等、専門人材育成のための研修を積極的に行っていただきたいと思います。
地域の体制づくりは、幅広く多様な社会資源を巻き込んでいかれるようお願いしたいと思います。
(ウ) 障害者生活支援センターの区ごとの偏りについて。
地域生活支援拠点の機能の重要な部分を担うことになると思われる障害者生活支援センターは各区に設置されており、それぞれ知的障害、身体障害、精神障害の全てに対応しております。しかし、それぞれのセンターで委託されている事業者のキャパシティに偏りはないでしょうか?相談の連絡を何度してもアポイントが取れないというような事例も聞いております。それぞれの相談受理件数と相談受付者一人当たりの受理件数を教えていただければと思います。もしくは、相談受付者一人当たりの受理件数に幅がないか。一番多い区と一番小さい区について、教えて下さい。
ありがとうございます。一人当たりの受理件数が多いところは飽和状態になっていることが想定されます。人員を確保できないかご検討いただければと思います。
(エ)グループホーム整備促進事業の進捗について。
親亡き後に障がい者が自立して生活していかれるように、最も要望の多いのがグループホームであるかと思います。特に知的障害者、発達障害者に対するアンケートでは、「年金・手当てなどの金銭的な支援」(34.3%, 34.0%)の次に「グループホームを増やしてほしい」(32.9%, 22.7%)「住むところや住みやすい家を作ってほしい」(17.6%, 11.3%)という要望が多く寄せられていました。
そこで、現在のさいたま市のグループホームの施設数、受入枠数、受入人数。また、今後の整備予定について、令和2年4月の開設予定のグループホームを募集する際に設定されていた募集枠数と応募数。そして、実際に開設が決まった施設数と受入枠数、そのうち短期入所の枠数を教えていただければと思います。
ありがとうございます。令和4年開設予定の募集は今年の5月に行うかと思いますが、市の整備計画上の募集枠と、その枠数で今後の親亡き後の障がい者の生活拠点としてのニーズが満たせるのかどうか。見解をお聞かせください。
ありがとうございます。現状の数でとても足りているとは思えません。事業者からの応募に頼るだけでなく、こちらから説明会、見学会、相談会を行う等、事業者が応募しやすくなるような施策、また、空き家の活用などご検討いただければと思います。