活動報告

令和3年 12月一般質問

さいたま市議会議員 てるきな弘志

1.公共交通の充実について

(1) 公共交通のグランドデザインについて

公共交通を考える上で、行政の最も大きな役割は数ある交通事業者間の調整であると思います。今後、公共交通の利便性を高めていくためには、交通事業者に対して、本市が何を目指し、どのような公共交通の姿を描いているか、新しい交通手段も出てきていることから、時代に合わせた新しいグランドデザインを示していく必要があると思います。公共交通マスタープラン及び地域公共交通計画の中で示すべきだと思いますが、そこで示されているのは本市の公共交通の抱える課題、公共施設へのアクセス性の向上などの目的や道路計画であり、新しい交通手段によって交通事業者にもたらされるメリットについては描かれていません。

先日行われた学生政策提案フォーラムでも、芝浦工業大学のチームから、路線バスとの接続を前提としたオンデマンドバスが提案されました。オンデマンドバスは面でエリアをカバーし、路線バスへの接続を前提とすれば、バス事業者にとっても、オンデマンドバスがお客さまを運んできてくれるというメリットが生まれます。また、タクシーは出発地から目的地までを直接結ぶ完全なオンデマンドとして差別化が図られます。本市のマスタープランと地域公共交通計画を交通事業者の皆様に理解していただき、本市の目指す公共交通の姿をともに実現する協力関係を築くためにも、面でエリアをカバーするオンデマンド交通と面と面を線で結ぶ路線バスというグランドデザインを描き、さらに人流のシミュレーション結果を示さなければ、新しい交通手段を導入した場合の既存の交通事業者との調整役という行政の役割を果たせないのではないでしょうか。交通事業者同士は、シームレスな市民の移動を実現するという目的においては、競合関係ではなく、補完関係にあると思います。経済学でいうところの囚人のジレンマを克服し、協調関係を築いていかれるよう調整をお願いしたい。そのために新しいグランドデザインが必要であると思いますが、見解をお聞かせください。

また、市民にとってのメリットも示す必要があると考えます。交通空白地域の解消のため、コミュニティバスや乗合タクシーが導入されていますが、利便性向上のためのルート変更の対応などは引き続きお願いいたします。しかしどれだけルートを検討しても採算がよくならない場合には、オンデマンド交通を導入することで、市民が交通手段に合わせて移動するのではなく、市民の移動に交通手段が合わせるというこれまでとは違う公共交通体験を提供することができると思いますが、見解をお伺いします。

さらに、市民の公共交通の利用を促すために、サブスクリプションや、接続割引の導入も検討されるべきであります。接続割引については、例えば、地元の話題で恐縮ですが、中央区の大戸地域から市民医療センターに行くには、直通の路線バスがございません。この9月から市民医療センターを通過する乗合タクシーが試験導入されましたが、これも大戸地域を通過しているわけではありません。路線バスで大久保浄水場の手前のやつしまニュータウンで降りて、乗合タクシーで市民医療センターに行くしかありません。しかし、バスで250円、乗合タクシーで300円。やつしまニュータウンから市民医療センターまでのわずかな距離のために300円を追加で支払うには大きな抵抗があります。接続割引が導入されれば、シームレスな移動に対する市民への認知も上昇し、公共交通の交通手段分担率も向上することが期待できると思いますが、見解をお聞かせください。

(2) MaaSを前提としたAIデマンドバスの導入について

学生提案のオンデマンドバスの発展系とも言えるAIデマンドバスについては、これまでも会派として何度も要望してきたところであります。浦和美園、岩槻で実証実験されたことは、歓迎すべきものでありますが、いずれも単体事業として行われており、AIデマンドバスの弱点が克服されていないように感じています。AIデマンドバスの最大の利点は移動を面でカバーできるところですが、面を広げすぎると効率が下がるため、エリアが限定されることが弱点であります。その弱点を補うためには、先ほどグランドデザインで申し上げた通り、基幹交通である電車・バスとMaaSで接続し、面を線で拡張することであると考えます。つまり、AIデマンドバスの実証実験をいくら行っても、MaaSで基幹交通と接続されていない限りは、採算が合わず、廃止されてしまう路線が出てくることを危惧しています。

9月定例会の決算委員会で本市は大宮・新都心エリアで生活者の視点に立ったライフサポート型MaaSの構築を検討しているとの答弁がありました。その交通手段として、シェア型マルチモビリティ、シェアサイクル、電車、路線バスについては言及されました。しかし、ラストワンマイルの交通手段として期待されるシェアサイクルなどは高齢者に不向きであります。私は、ライフサポート型MaaSが生活者の視点に立ったものを目指しているのであれば、交通弱者を取り残すわけにはいきません。AIデマンドバスも当然にライフサポート型MaaSに組み込まれるものであると考えますが、見解をお伺いします。

2.安全安心な市民生活について

(1) ドライブレコーダーを公用車に搭載し、防犯カメラとして活用

市民の安全安心のため、防犯カメラの設置をこれまでも進めてきましたが、設置をするには、コストの他に、地域住民のプライバシー保護に対する理解、警察との協議など、超えるべきハードルも高く、なかなか進まないのが現状であろうかと思います。新しい技術、サービスも出てきていますので、そうしたハードルを乗り越えて、防犯カメラの設置推進を今後も積極的に進めていただきたいと思います。そこで、まずは最も簡便に採り入れることができる防犯カメラとしてドライブレコーダーの活用を提案いたします。ドライブレコーダは動く防犯カメラとして公用車に搭載する自治体も増えています。徳島県阿南市では2019年に全公用車220台に搭載、神奈川県開成町ではこの4月から「市民参加型記録活用システム」の実証実験を開始しました。同じく神奈川県の愛川町では昨年の4月からドライブレコーダー搭載車登録制度を設けました。大阪市では自主防犯活動をしている民間の青色防犯パトロール車へドライブレコーダーを搭載する補助事業を行っています。民間でも一般企業と警察が提携を結んでいる事例もあります。本市では市内の防犯カメラの設置がなかなか進まない状況の中、まず全ての公用車にドライブレコーダーを搭載し、警察との協定により、録画データを提供する仕組みを整えるべきであると考えますが、見解をお伺いします。

また、公用車のドライブレコーダーの録画データを警察に提供する仕組みが出来上がり、運用が軌道に乗れば、それを市民にも開放し、録画データ提供に同意したボランティアドライバーを募ってはいかがでしょうか。公用車だけでは夜を走る車が少なく、市内全域をカバーすることもできません。市民参加で市民自ら市内の安全・安心を守る体制へと発展させていくべきであると考えますが、見解をお伺いします。

(2) 防災対策として小学校などの公共施設にLPガスを導入

大規模災害時、ライフラインが復旧するまでの日数は電気が最も早く、続いて、水道、都市ガスと言われています。東日本大震災では、98、99%まで復旧するのに、電気は約1週間、水道は3週間、都市ガスは5週間かかったと言われています。本市の災害時のライフラインについて、電気は市立学校に太陽光発電設備・蓄電池システムが設置されています。またEVやFCVも動く非常用電源として活用することができます。水は貯水タンクや災害井戸などが設置された応急給水場所が学校をはじめ市内111ヶ所あり、生活用水などに使うことができます。しかし、ガスについては、電気や水に比べて優先度は低いと言われていますが、大規模災害発災直後に炊き出しを行い、暖かい食事を供給するためには、やはりガスは不可欠であろうと思います。現在、小学校43校、中学校15校にLPガスが導入されていると伺っていますが、その他の学校にLPガスを導入する予定はないのでしょうか。導入したくてもできないのならば、それを妨げているものは何でしょうか。それが都市ガスからの切り替え工事だけであれば、ノズルの口を交換するだけですので、多額な費用がかかるわけではないと聞いております。

ガスは劣化するものではありませんので、備蓄用として置いてもいいかもしれませんが、保管期限がありますので、日常的にガスを使う給食室などでLPガスを導入することが最も効果的だと考えます。そうすることによって、人命救助のクリティカルタイムである最初の72時間に炊き出しをし、温かい食事を提供することができます。脱炭素の時代にガソリンやガスの需要は減少していますが、災害時にはあらゆる場面を想定して準備しておくことが必要です。EVやFCVも含めてエネルギーのベストミックスを実現するためにもLPガスを全学校の給食室に設置することは理にかなっていると思いますが、見解をお伺いします。

3.文化の向上とまちづくりについて

(1) ストリートピアノの全区展開について

私がここで初めて、当時はまちピアノと呼ばせていただきましたが、ストリートピアノを市内に展開してはどうかと提案してから、2年半が経ちました。、当時の答弁では有効な取り組みであるが、様々な課題があることから他都市の事例を参考にしながら調査・研究してまいりたいとのことでした。この間に、全国のいろんな場所で設置されるようになり、主要都市にはストリートピアノがあることが当たり前になってきました。本市においても、浦和美園駅のふれあいピアノ、大宮アルシェ前のきずなピアノ、最近では7月に浦和区役所と浦和駅前の中之島地下道で期間限定ではありましたが、実施されました。区役所に置かれたピアノは浦和レッズがレッズピアノとして真っ赤にラッピングし、市内を巡回し、(写真1)現在、いろどりを変えてさいたま新都心駅の東西自由通路に置かれています。また、昼の1時間だけではありあすが、プラザイーストでは月2回、さいたま芸術劇場でも月1回ピアノを開放して、市民の皆様が自由に弾くことができるようになっています。

写真1

私も、2年前に与野イオンで実施したほか、(写真2)今年の8月終わりから1ヶ月半ほど、コンビニエンスストアにピアノを設置して、コロナ禍の中ではありましたが、コンビニピアノとして親しまれ、地域の皆様に一陣の涼風を送ることができました。

写真2

ストリートピアノは市民が参加できる文化活動としてもはや定着しつつあります。本市でも各区に最低1ヶ所常設してはどうかと思っていますが、そのためにまず、ヤマハミュージックジャパンがLove Pianoと称してストリート専用にペイントしたピアノを各地に貸し出しているように、ストリートピアノの貸し出し事業を行ってはいかがでしょうか。おそらく全国でも初めての取り組みだと思います。区民祭りをはじめ、地域のお祭りや、商店街のイベント、まちおこしイベント、マルシェ、フリーマーケットなど、活用できる機会はたくさんあります。また、ストリートピアノをやりたいと思っている人、団体、さいたま市に所在があれば誰でもストリートピアノを実施できるようにしておけば、こんなところでやってみてはどうだろうとか、行政が考えるよりも、市民のいろんなアイディアが出てくるのではないかと期待できます。文化芸術都市の創造にむけて、ストリートピアノは非常に効果的なツールだと思いますが、見解をお聞かせください。 (運搬費用などは、文化芸術都市創造補助金を弾力的に使えるように)

(2) 音楽によるウォーカブルなまちづくりについて

ストリートピアノの普及の先には、市民が日常的に文化芸術活動に触れるだけでなく、参加することができるまちづくりがあります。コロナ禍のなか開催された国際芸術祭のレガシーとして、アーツセンタープロジェクトなど、市民参加の芸術運動が根付いてきています。このさいたま芸術の萌芽をしっかり根付かせ、花開かせるためにも、次は音楽によるまちづくりを考えてはいかがでしょうか。 歩いて楽しいウォーカブルなまちづくりを進めるにあたっても、音楽には人を外に誘い、人と人を結ぶ力があります。歩いて楽しいまちに音楽は欠かせないのではないでしょうか。例えば、中央区には与野本町駅から芸術劇場までの道がアートストリートとして、路面にシェイクスピアの言葉が書かれた埋込照明が設置されていたり、アーティストの手形レリーフが飾られていたりと工夫されています。これだけでも歩いて楽しい、芸術文化を感じられるストリートであると思いますが、そこに市民参加という視点を加えることによって、市民の文化意識はさらに向上するのではないでしょうか。総合振興計画では文化芸術に親しめるまちであると感じる市民の割合を61.9%から67%にする目標が掲げられています。そのためにも、例えば、駅前広場、公園、ストリートなど、いつでも誰でも楽器演奏ができるエリアを指定してはどうでしょうか。最近流れている携帯のCMで、公園でフランス人と思しき女性がバイオリンを弾いていたところ、近くで踊っていた女性が携帯の翻訳機能を使って話しかけている場面がありますが、これをCMの世界だけでなく実際の私たちの日常生活に生の音楽が流れるまちとして実現することができれば、目と耳の両方で芸術文化を楽しむことができるようになるのではないでしょうか。そういうエリアがあれば、ストリートピアノもイベントとして開催しやすくなります。なお、その携帯のCMは北浦和公園で撮影されたものだと聞いています。さらに年一回は楽器演奏の可能なエリアを拡張して、「渋谷ズンチャカ」のように音楽の日にすることも考えられます。国際芸術祭で始まった市民参加の芸術運動の土台の上に、新しい展開として、音楽によるまちづくりを考えてはどうかと思いますが、見解をお伺いします。

4. 公共施設再編について

(1) 中央区役所周辺の公共施設再編とデジタル化の推進について

9月議会で追加提出された総合振興計画の改定事業の中で、中央区役所周辺の公共施設再編事業にデジタル化を推進する施策が追加されました。デジタル化の具体的な内容はこれから検討されていくことと思いますが、中央区役所周辺の公共施設再編事業は、単に建物を建て替えるだけのリフレッシュ事業ではなく、このエリア全体のまちづくりに関わるエリア再構築事業であると理解しています。そこにデジタル化という視点が加えられたことは、さいたま市の新しいまちづくりのモデルケースにしたいという意欲が感じられます。東京の中心地、大手町・丸の内・有楽町の大丸有エリアで進められているまちづくりには敵いませんが、ぜひ参考にしていただき、環境に配慮した、全ての市民にやさしいまちづくりを目指してもらいたいと思います。

そのためにもデジタル技術は極めて重要であります。6月定例会でも提案させていただいた通り、AIやRPAを活用した区役所内での手続きや業務のDXによって、書かない・書かせない区役所、手ぶらで手続きできる区役所、来なくても手続きできる区役所の実現、また、待たせない区役所、待つときも有意義に楽しく過ごせる空間づくりにぜひ取り組んでいただきたいと思います。しかし、それだけであれば中央区役所で行う意味はありません。全区役所を対象にどんどんやっていただきたいと思います。公共施設再編事業の中でデジタル化を推進するならば、エリア全体でのデジタル活用について考えるべきであります。例えば、エリア内にスマートポールを設置し、5G、Wi-Fi通信局、防犯カメラ、街路灯、デジタルサイネージ、スピーカーを搭載し、地域利便性の向上に努めてはいかがでしょうか。デジタルツインの構築についても考えられます。また、交通手段についても、AIデマンドや、5G通信局を活用した自動運転バスなど、区役所へのアクセス向上にも寄与できるかと思いますが、エリア全体のデジタル化について、見解をお聞かせください。

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